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ダメなヤツはおまえだけじゃない:モンスターズ・ユニバーシティ [映画]

力を尽くしてもかなわないこともある
しかし、その挫折こそが夢をかなえ
飛躍的に成長する原動力となるのだ
また、そのときに得たものが
一生ものの宝になる

モンスターズ・インクの
デコボコ・コンビの挫折は大学時代
それはそれは大きなものだった
特にギョロ目ちゃんこと
マイク・ワゾウスキにとっては
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後日の二人の活躍を思うと
泣けて仕方がなかった名場面
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マイクが(田中祐二も)他人には思えない立場なのだが
こんなにいいやつだとは知らなかった
ヘコみはするけど、いつも変わらず
バイタリティがあり、ガッツがある

「ハイスクール・ミュージカル」のような
アメリカの大学の雰囲気が好きな人にもお勧め

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黒い十人の女(1961) [映画]

シナリオを先に読んでから映画を見たのは
これがはじめてである
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きっかけは「誰かが風の中で」という歌だ
作詞した和田夏十は市川崑夫人で
「日本有数の」脚本家である

傑作であり快作であり怪作だ
あまりにもの凄いので観ながら笑ってしまった
一番もの凄いのは和田夏十の奥深さであるが
感じることはできても理解には程遠いので
ここで触れることができない

分かりやすいもの凄さでいえば
やはり女優陣だろう
山本富士子、岸恵子、宮城まり子、岸田今日子…
その貫禄というか存在感たるや、圧倒されまくりである
中村玉緒だって、今の玉緒さんとは全然違う
登場する女性が皆カッコいいのである
(愛らしく滑稽でもある)
それに比べて男性人の情けないこと
のちの伊丹十三監督にいたっては、チョイ役だ

ストーリーも奇想天外
本来なら、ドロドロでぐちゃぐちゃな愛憎劇になっても
おかしくない内容なのに
きわめて軽快なブラックコメディに仕上がっている
シナリオの確かさ、演技力の巧みさで
男女の愛情の不合理さがよく表現されている

    メカニズム(私注:「組織」と言い換えていいと思う)の中で、
    時間においかけられながら自分をフルに使って勝負するのが
    現代人の生き方だと思いますけど

和田夏十は、時代に先んじていたといわれるが
そのことがよく理解できる
 
    誰にでも優しいってことは、誰にも優しくないってことよ

その後の漫画やテレビドラマで幾度も目にし耳にするこのセリフは
この映画がオリジナルなのだそうだ

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フィラデルフィア物語 [映画]

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ハリウッドを代表する名監督ジョージ・キューカーによる
ケーリー・グラント、キャサリン・ヘプバーン、ジェームズ・ステュアート
泣く子も黙る三大俳優を一堂に介した傑作ラブ・コメディである

【ジェームズ・ステュアート】
酔っぱらいのお芝居は
役者さんの力の見せどころである

また

ジェームズ・ステュアートといえば
フランク・キャプラの「スミス都へ行く」や「素晴らしき哉、人生!」
ヒッチコックの「裏窓」「めまい」などで知られた名優中の名優である
そのジェームズ・ステュアートが
唯一のアカデミー主演男優賞をとったのが
この「フィラデルフィア物語」なのだ
この映画では
歴史的名優のオスカークラスの
酔っ払い演技が堪能できる

酔っぱらいのお芝居だけではない
ジェームズ・ステュアートは
キスシーンが下手なのだそうだが
この映画での
キャサリン・へプバーンとのキスシーンは
それはもう、もの凄いのである
絵画や音楽がそうであるように
優れた芸術作品は時間も距離も越えるのだ

【基本家庭志向】
伝説の女優であるキャサリン・ヘプバーンにせよ
現代の名女優であるメリル・ストリープにせよ
そして私がひそかに注目している和田夏十にせよ
プロ中のプロである以上に家庭志向であるのがすばらしい
(キャサリン・ヘプバーンは最終的に
 一人の男性に生涯を尽くしたという意味で)

【映画の教科書】
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このDVDは特筆すべき特典が2つある
1つは音声解説の素晴らしさ
演技もちろん、俳優の人となり、スタッフ
舞台裏のエピソードや歴史的価値
撮影、録音技術、背景美術にいたるまで
評価すべき点や意義を
丁寧にわかりやすく解説している
映画を楽しむ上で、大変勉強になり
参考になる解説である

2つ目は、キャサリン・ヘプバーンの
自伝的ドキュメンタリーが付いていること
これも大いに見ごたえがある
女優として超大成功を収めただけではなく
超大富豪との恋愛もあった彼女が
独立心旺盛で、目立ちたがりでちょっと変わった
でも、どこにでも居そうな
ごく普通の、当たり前の感覚を持った女性であることに
感動・共感すると同時に、襟を正す思いもするのである


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ハマってます通信 2013年8月残暑お見舞い号 [映画]

【博多駅地下送迎場】
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福山駅の地下送迎場に味をしめたわけではない
お盆で帰省していた時の福岡の太陽は、それはもう
殺人光線を連日発射しまくっていたのだ
クルマで移動している間はともかく
駐車場から目的地の間の日光と外気温をいかに避けるか
天神なら大きな地下街があるからそこを通れば済むが
これが博多駅となると、もよりの市営駐車場から
お外をしばらく歩かなければならない
その状態を避けるためにこの夏活用しまくったのが
博多駅に新しく出来た地下送迎場なのである
雰囲気はほぼ、福山のそれと同じだ

【キャサリン・ヘプバーン】
ヘプバーンといえばオードリーだった私が
この夏にハマった女優さんである
アカデミー主演女優賞を受けること4度にわたる
史上最強の女優だ

きっかけはこれ
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映画「パルプフィクション」の
限定ブルーレイディスクである
この特典映像の中で
タランティーノことタラちゃんが
最も影響を受けた監督として名を挙げたのが
「リオ・ブラボー」などで知られるハワード・ホークス!
最高のストーリーテラーであり
映画史上最高の娯楽映画監督だという

ホークスの「三つ数えろ」のTV吹替版が
実は「パルプフィクション」と同じくらい好きな私は
タラちゃんが名前を挙げた作品に早速飛びついた

「赤ちゃん教育」監督・制作ハワード・ホークス
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きいたことのない映画だった
レンタルでは到底手に入らない代物なので
取り寄せてみた
ちなみにここでいう「赤ちゃん」は
王様の直訳ロック的意味合いである
その映画のヒロインを演じているのが
キャサリン・ヘプバーンだったというわけだ

「赤ちゃん教育」は今から85年前
あのゼロ戦が此の世に現れる前年に作られた
ふるいふるーいアメリカの映画で
いわゆるスクリューボール・コメディの1つなのだが
中でもこの作品は
現代の感覚からしてもかなりハイスピードな
ノンストップラブコメディである

英語のヒアリングはもちろん
奇想天外なギャグを理解する教養とセンスがないと
その良さを理解することができない
とんでもない映画があったもんだ
High browと言われるゆえんである

キャサリン・ヘプバーンの魅力
そしてケーリー・グラントとのかけあいが面白くて
つい何度も見てしまうが、見るたびに考えてしまう

美味しいんだけど
何がどう美味しいのか
本当の良さを
ちゃんと理解できていないし
説明もできない
私にとっては
信州そばのような映画といえよう

そしてもうひとつ
この映画の主演コンビといえば
スクリューボール・コメディの集大成ともいえる
「フィラデルフィア物語」というのがある
こちらのほうは確かに
誰が見てもすばらしい映画で
いつか紹介したいと思うのだけれど

名作「フィラデルフィア物語」は
知られざる傑作「赤ちゃん教育」があってこそ
の感を、なぜか強く持つのである

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オブリビオン:期待しないほど結果が良い法則 映画編 [映画]

   いまさらトム・クルーズぅ~?

上司に誘われたとき、やはりそう思った
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その上司が、いい年したおっさんで
女気無しの映画鑑賞会だというのは置くとしても
そもそもこの映画のTVCMを見たときから
そう思っていたのだ

この映画は近未来物のSFである
出演したモーガン・フリーマン風にいえば
人類の救済を惑星規模で描いたラブストーリーだ
私の印象では
ナウシカっぽいバタフライ・エフェクトである
それにしても
モーガン・フリーマンはなんと年を取らないことか

「労働者」の「後始末」と言うには
あまりにも優雅な超エリート暮らしぶりに
淡々と付き合わされる導入部にやや難があるが
緻密な描写に圧倒されて飽きることはない
中盤から急展開するストーリー
クライマックスへ至る加速感とリズム
その短さと衝撃の強さは
今までに見たことのない種類のものだ
音楽も悪くない
キース・ジャレットを髣髴とさせるピアノの余韻が
エンドロールの最後を彩るのである
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人類の救済を惑星規模で描いた
近未来物のSF映画だが
普遍性のあるラブストーリーである
ヒロインを演じた女優さんの
ブロンドさんとは異なる素朴な雰囲気に
いつしか私も
普段から思う女性の面影を重ねていた

   恋に落ちるときは落ちるのよ

その女優さんのコメントの中で
この映画のテーマについて
「愛」ばかり語っていたのが微笑ましい

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レ・ミゼラブル [映画]

この連休所用で里に帰ったので
JR博多シティ9階に出来た
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新しい映画館で家族と観た

まず、あまり期待してなかったアン・ハサウェイに
マイリマシタ、ゴメンナサイである
彼女の芝居が切な過ぎて胸が痛くて仕方なかった
スーザン・ボイルが歌った「夢やぶれて」は
この情景で歌われるものだったとは知らなかった
あとヘレナ・ボナム=カーター(笑)
同じ監督の「英国王のスピーチ」とは
まったく正反対の下品でゲスで意地悪な役柄だが
こっちの方がどうもしっくりくるように思える(笑)
旦那役共々重苦しい映画の一服の清涼剤として
大いに楽しませてもらった
ただコゼットが、マンマ・ミーアのあの娘なのだけれど
あの顔だちにはどうにも違和感がぬぐえなかった
コゼットって、きっと観客の思い入れが大きい役だから
違和感が大きい方が返っていいのかもしれない

映画自体は、原作の小説ではなく
ミュージカルの方を映画化した
最初から最後まで台詞がほとんど生歌という
新しいタイプのミュージカル映画である
内容は重く、悲惨な場面も多々あり
小さい子供に見せるのは正直どうかと思う
大人にとっては、思い当たることがたくさんあって
涙なしでは見られないのではないだろうか
現実に悩み苦しみ打ちひしがれても
そのたびに自分を見つめなおして再び歩き始める
名もなき人々の力強さに激しく共感する
決して面白おかしい映画ではないが
大人なら観て後悔する映画ではないと思う
小さい子供を連れて来た親を除いては
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幕末太陽傳 [映画]

先日、俳優の小沢昭一が亡くなった
小沢昭一といえば、まず思い出すのは
40年続いたAMラジオ番組「小沢昭一的こころ」
そして映画「幕末太陽傳」で演じたアバ金である

「幕末太陽傳」といえば
躍動感あふれる主人公の大活躍が
今もなお色あせず胸をすく
邦画を代表する面白活劇の傑作である
この映画について話すには
脚本も手がけた監督・川島雄三に関わる
少なくとも2つのことに触れなければならない

1)幻のラストシーン
この傑作が大傑作にいたっていないとすれば
その原因はラストシーンにある
本来監督が強く望んだものにはならなかったからだ
幕末の主人公が、現代(映画が撮られた当時)に
飛び出して逃げていき
映画冒頭の現代シーンに(おそらく)つながっていくという
その構想は
映像にされることは結局無かったのに
この映画の評判とともに語り継がれ
別な形で何度も具現化されることになった
実を言うとこの私も、ソフトを購入するごく最近まで
幻のラストシーンこそが実際のそれだと思い込んでいた
妄想のラストシーンをもって大傑作だと感動していたのである

2)「花に嵐のたとえもあるぞ サヨナラだけが人生だ」
川島監督が好んだ言葉で、墓碑にも刻まれている
もとは于武陵の漢詩「勧酒」を
福山が生んだ作家・井伏鱒二が訳したものである
全文はこうだ

  勸君金屈卮  コノサカヅキヲ受ケテクレ
  滿酌不須辭  ドウゾナミナミツガシテオクレ
  花發多風雨  ハナニアラシノタトヘモアルゾ
  人生足別離  「サヨナラ」ダケガ人生ダ
  
この映画は軽快で洒落ているが、終始どことなく死の影がある
主人公の一見ひとなつっこそうでいて、人や世を突き放したような感じ
難病で夭折した川島監督の世界観だともいわれている

自らの死を、いまだ意識せずに済んでいる私にはとても
この訳詞を口にする資格はない
だが、今このときが
いかに貴重で素晴らしい瞬間であるかは分かる
分かるからこそ、その一瞬を惜しむ気持ちは強い
人一倍強いと思う
だからナミナミ注ぎたいなぁと切に願っているのだけれど
だからこそだろう、正面は空席のままだ
 
 
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ザ・マペッツ(2011):なで肩とため息 [映画]

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こちらは日本語字幕で見た
私の場合、セサミ・ストリートの原体験は
NHKの語学講座番組としてであり
その当時、日本語吹替版など存在しなかったから
吹替版の方に違和感を感じるのだ
いつもと逆である
それに、聞き取りやすく分かりやすい英語なので
ミスリードされる可能性も少ない

でも声優さんは悪くない
ジェイソン・シーゲルの声は野原ひろしだったりする
そのフィアンセはエイミー・アダムス
悪役はクリス・クーパー、これがまたかっこいいんだ!
詳しくないが、ボーン・シリーズによく出ている人らしい

そういった実物の俳優さんたちと
人形であるマペッツが何事もなく競演しているのがすごい
しかもミュージカルである
そもそもセサミはそうだったけれども
競演のレベルに隔世の感がある

カメオ出演も豪華
豪華といってもなかなか通好みな人選で
例えば、ミス・ピギーの秘書は
「プラダを着た悪魔」でメリル・ストリープのアシスタント役だった人だ
私が気づいたのはウーピーさんくらいで
ウィリー・ネルソンが出ていたことは知らなかった

故ジム・ヘンソンの作ったマペットの世界は
社会に疲れた大人の哀愁がぷんぷん漂う世界である
カーミットにしてからに、なで肩でため息ばかりついている
とぼとぼしたその歩き方にはどこにも覇気がない
そのユーモアも自虐的で皮肉まじりだ
元気が出るときがたまにあっても
いわゆる躁の状態で長続きはしない。それでも…

それでも「素晴らしき哉、人生」の思いを強くする
そんな世界観はそのままに、ディズニーの力を得ることで
まるで舞浜シーのビッグ・バンド・ビートのような
コンパクトでパンチのあるエンターテイメントに仕上がっている

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The Iron Lady(2011、日本語吹替版) [映画]

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導入部からぐいぐい引き込まれ
最後まですーっと引き込まれっぱなしだった
テレビ画面で、吹替版で見たにもかかわらず
クライマックスでは泣きそうになったし
スタッフロールが静かに流れていくのまで
自然と静かに見ていた

予想していた内容とはまるで違っていて
独りの老いた女性の話だった
その彼女がフラッシュバックで振り返るのが
「鉄の女」といわれた激動の人生だったというだけで
得てきたものと失ってきたものを思う情景は
女性はもちろん、私のようなおっさんにとっても
十二分に共感できるものだった

ラストシーンを見ながら
女の幸せってなんだろうと思ったが
それは永遠に答えの出ないことなんだろう
(スタッフに女の人が多いのも興味深い)
一方、男の幸せは
最愛の女性を幸せにすることにあるのだなと
こっちの方は認識を強くした次第だ
(だからいつまでも相手にされないのか…ヽ(`Д´)ノウルセー)
どんな役を演じても、「老い」を演じてさえ見るものに敬意をいだかせる
メリル・ストリープという女優の凄さをMAXに生かした作品である

大好物のイギリス映画だし
(同時期の「英国王のスピーチ」といろいろ重なるところが多い)
ラストではバッハの「平均律」を使用するなど
非常に私好みな作品だが、邦題だけはいただけない
「マーガレット・サッチャー:鉄の女の涙」
原題の"The Iron Lady"でいいじゃんという話である
内容を間違って伝えてしまっている

そうなのだ、こんな感じで
日本語字幕は翻訳者がミスリードする事が多い
中には勝手に自分の世界観に変えてしまう場合もある
私もかつてそうだったが、日本語字幕で見ると
なぜかオリジナルに忠実だと勘違いしてしまうので要注意だ
セリフを正確に聞き取り理解する力がないなら
オリジナルとは違うかもしれないと頭に入れながら
必死に聞き取りながら見たほうがいいと思う
(英語字幕を出しながら見るのも一手)

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英国王のスピーチ(日本語吹替版):お父さんつながりで [映画]

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イギリス連邦の女王エリザベス2世が
即位60周年を迎えた本年
かの地では6月2日からの4日間にわたり
祝賀行事(Diamond Jubilee Celebrations)が開催された

女王エリザベス2世が即位する前は
お父さんであるジョージ6世が国王だった
ウィキによれば
生真面目で誠実な性格だった一方
病弱で内向的
特に重度の吃音症に悩まされていたという
この映画は
「英国史上もっとも内気な国王」だった彼が
即位する前
まだヨーク公アルバートだった頃に出会った
セラピスト兼俳優のオーストラリア人
ライオネル・ローグの治療によって
次第に吃音障害を解消していくという
史実に基づいたおはなしである

【イギリス(的な)映画】
イギリス人は
どんなときでもユーモアを忘れないそうだ
厳しい状況であればあるほど
ユーモアで乗り越えることができる
ユーモアが力を与えるのだ
かの地の映画もそんな感じ
現実離れした夢物語ではなく
現実を前に立ちすくむ人を
ユーモアが勇気づける
「アバウト・ア・ボーイ」
「ラブ・アクチュアリー」
「フル・モンティ」
「リトル・ダンサー」
私はイギリス(的な)映画が大好物なのだ

【赤の女王】
主人公を支える王妃
エリザベス・ボーズ=ライアンは
女王エリザベス2世のお母さんであり
しかも同名であるのだが
おおらかな性格で人気があったらしい
第二次世界大戦中の言動で英国人の士気を高め
あのヒトラーから「ヨーロッパで最も危険な女性」
といわれたほどの人なのだが
ヘレナ・ボナム・カーター演じるこの妃殿下様が
たいそうチャーミングである
主人公であるダンナだけでなく
この映画を支えている存在といってもいい
特に冒頭、セラピストのローグを訪ねるシーン
セリフのやり取りが洒落ていてめっちゃカッコいい
   ローグ「つまり、私の事も、敵と…?」
   妃殿下「そうなりますね、無作法のままでしたら…」
そして微笑む、一瞬の笑顔の魅力的なこと!
演じているこの女優さんは
ティム・バートンのパートナーであり、なんと
「アリス・イン・ワンダーランド」の頭でっかち残酷女王
赤の女王イラスベスを演じた役者さんだったのだ
吹替の声がまたいい
大人で落ち着いていて品がある
この声がすさまじい相乗効果をあげている
この声優さんは、驚くなかれ
ちびまる子のおばあちゃんの声の人でもあるのだ
やはり日本語吹替の魅力は深い
文化といってもいいくらいだ
キテレツな表情をしたなんちゃってトップアイドルを
事務所都合でごり押ししてよい世界ではない

【キャプテン・バルボッサ】
声といえば、主人公の吃音を治療した重要な役
ライオネル・ローグの声は
「パイレーツ・オブ・カリビアン」のバルボッサと同じである
これは大切なことであって
ジェフリー・ラッシュという役者さんは
あの声でなければ違和感ありまくりなのだ
同じ人が演じることによって
バルボッサと同じでありながらバルボッサと全然違う
ジェフリー・ラッシュの演技の凄みを感じることができる

【レクイエムとしてではなく】
ゲイリー・オールドマンがベートーベンを演じた
「不滅の恋」という映画で私は交響曲第7番を知った
レクイエム的に使われた第2楽章を特に気に入り
CDを買って聞いてみたら、ほかの楽章まで好きになった
ところがその後「のだめなんちゃら」という軟派なドラマで
第7番がおおはやりしてしまった
以来なんとなく聞きにくくなってしまったのだ
その交響曲第7番の
しかも「のだめなんちゃら」関連では無視され
映画でもせいぜい
陰気くさい場面にしか使われない第2楽章が
この映画のクライマックスで使われたのである
わが意を得たりとはこのことだ、そうこなくっちゃ
静かで深い旋律だからって
レクイエムにばっかり使ってんじゃねー!
野球の応援のように
ぶんちゃか景気良く鳴らせばいいってもんじゃねー!
大人が困難に立ち向かってる時にこそ
こういう淡々とした美しい旋律がふさわしいのである
モーツアルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」でもそうだが
覚悟を決めて物事にあたるとき、人は必死になる
その場面にこそふさわしい音楽なのである

主人公を演じたコリン・ファースにしてからが
「ラブ・アクチュアリー」や「マンマ・ミーア」などで
私にはお馴染みの役者さんだ
この映画は役者から声優から音楽から何から何まで
私好みの映画であることは間違いない
 
※日本語吹替でご覧になることをお勧めします 今更ですが(笑)
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