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カメラを止めるな! [映画]

鑑賞する上で、なによりも留意すべきは
映画の前半がソコソコグロいホラーであることだ
(館内で小さい子供を見かけたが
 舞浜に赤ん坊を連れて行く位無謀である)
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しかしそれをまず最初に観ないことには
映画自体が楽しめない
後半のほのぼのとした日常感および
加速するユーモアとの対比が秀逸だからである
「バードマン」を彷彿させる
前半のワンカットホラーで捲き倒した伏線を
後半での怒濤の回収により
飽きさせず時間を感じさせないという
二重の意味でノンストップ
しかも
キャラ立ちまくりのキャストによって
醸し出されるしみじみとした味わい深さは
まるで小津映画だ
シネマ尾道で映画を観たのは
「東京物語」以来だが
十分それに相応しい出来だった

本当にインディーズなのか
なんちゃら通とかほにゃらら堂が
最初から仕組んでいるのでは無いだろうか

鑑賞後の尾道駅前
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君の名は(1953-54) [映画]

今流行のアニメ映画に題名をリスペクトされたのは
偶然にも今流行の「不倫」の映画だった
それも日本各地を舞台とする超ベタな大河メロドラマである
ベタだからこそハマれば結構面白いのだ
ヒロインの真知子はグジグジ泣いてばかりだが
言うべきことは結構はっきり言うし
相手役の貴一パパもいつもなんだか煮え切らないのだが
その細面にパラッとかかる前髪がえらくかっこいい
今から観ても全然イケメンである

話が北海道に飛んだときは
そのぶっ飛んだ展開にさすがに呆れたが
実際のテーマもメッセージも至極まっとうで真面目だ
すなはち
忘れ去るという
出来もしないことを誓うから間違えて
他人を不幸に巻き込んでしまった
苦労に苦労を重ねてやっと
真面目に運命に向き合うことができたとき
はじめて事態は動くのであるが
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人はちゃんと好きになりましょう

そして

愛するとは、その人の幸せを願うこと



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君の名は(2016) [映画]

[良くないところ:2つのtoo much]
 ・背景美術のくどさ、光沢感
 ・和風文化に対する過度なこだわり
「引き算」が出来ないあたりに
この作者や制作側の背景が伺い知れる気がするのは
きっと私だけだろう

[東京アニメの系譜]
 この映画の中には確かに「今の東京」が存在する
暮らしてる人の東京というよりは
我々田舎暮らし時々お上りさん憧れの東京である
そしてその東京は、かつて
「さらば愛しきルパンよ」で宮崎が描いたものと同じである

最初から軽快なテンポで心地よく引き込まれ
途中で展開が急転することで一気にラストまで魅了する
今の若い子たちに寄り添った
良く出来た恋愛ファンタジーであり
観て損は無い

一方、くだんの歌のグループのPV的な側面も否めず
特にボーカルの男声になじむかなじまないかで
この映画の印象はまた大きく変わるのではないだろうか
私は映画館で無理矢理聞かされなくて本当に良かったと
ミュートを繰り返しながらつくづく思ったことだった




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美女と野獣(1991) [映画]

今までお前はいったい
何しに舞浜に行ってきたのだと
大変恥ずかしい限りだが
今更ながらの初見である
(当然ながら実写版も未見である)
何度かレンタル屋で借りてみたものの
その全てが途中で止まっていまい
結局アマゾンでポチったが
ボーナストラックが
最新25周年の内容だったので
却って良かったかなと思っている

【言うことなし】
良く出来たディズニー映画が全てそうであるように
冒頭からいきなり舞浜に心を持って行かれてしまった
素晴らしい映像と音楽が生むワクワク感が堪らない
物語自体はまさにTale as old as timeなのだが
そこにこそディズニーが
特に乙女の心をわしづかみにする
揺るがない世界観があり
それこそがうにばーざるとの違いである

【字幕と吹替】
私のような吹き替え派にとって
比較的旧い作品だからこその
レジェンド声優の演技が嬉しい
この作品で言えば筆頭は熊倉一雄だろう
(天国と地獄や幕末太陽傳にも出てる)
しかし、肝心の日本語訳にやや難点があるのと
オリジナルキャストの実力が凄く
どの作品にもいえることだが
正確でより深い作品理解のためにも
慣れればオリジナル音声の方が良いだろう

【山ちゃんとメンケンちゃん】
好むと好まざるとに関わらず
この両名で今の舞浜は出来てるようなものである
特に後者の、数々の名作のうちでも
一つの作品を通じてのベストな仕事は
おそらくこの作品だろうと確信する
彼の音楽があってこそ
これほどの傑作が出来たのだ

数々の名作の例


【あの曲が無い!予告編】


3DCGアニメに慣れた今の目から見ても
いや、だからこそ
培われてきた技術のもつ底力に圧倒される
感涙必至、文句なしの大傑作である
舞浜に行くならマストだ(お前が言うか!)

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尾道で「東京物語」を見た [映画]

初シネマ尾道は「東京物語」
尾道(仮)駅の直ぐ目の前だ
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シネマ尾道前の路地は
駅前でも風情がある方だと思う
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映画館で見る
「東京物語」は初めてで
当初は画面の遠さ、小ささを
少し心配していたが
見始めたら映画の内容に集中できた
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今回の鑑賞では
長男と長女の性格に
少し極端さを感じた
また東野栄治郎のこの映画での存在感も
私の中で増していることに気づいた
あと、長尺映画のため
終盤はトイレを我慢することで
映画に十分集中出来なかったのが
心残りである

なお8月に
「この世界の片隅に」が
再上映されるとのことである

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陸軍(1944) [映画]

【福岡版東京物語】
東京が舞台ではないのだが
親と子の関係が離れていく様子を
悟りに似た前向きな諦観と無常観でもって
静かに丁寧に描いている点
主人公が笠智衆で
出演に東野栄治郎や杉村春子がいる点
そして、申し訳ない
福岡出身の私にとって
戦中とは言え、里の懐かしい風景や
言葉遣いを味わうことができる「ふるさと映画」的な点で
「東京物語」みたいな映画だと感じたのだ

大手門付近?の電停
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私は数十年後に同じ軌道を通学に利用していた

旧日本生命保険株式会社九州支店(福岡市赤煉瓦文化館)
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いま妹が軽のハンドルを毎日のように切っている
辰野金吾によるこの赤煉瓦館の角を
「あの」ラストシーンの冒頭で
「あの」田中絹代が駆け抜けていく場面では
鳥肌が立つ思いである

【東野栄治郎】
カッカッカと高笑いする黄門様のイメージしかなかった私には
この映画での、特に目の表情の変化で
親の心情を表現した東野の芝居力には驚愕した
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しかも、文字通り陸軍による国策映画でありながら
ちょっとしたボケ役をこなしていて
笠智衆とのコンビネーションが
戦後の「東京物語」を彷彿とさせる
その「東京物語」において、東野の役と再会した笠の
「東京で会うとは思わなかった」というセリフがあって
戦中の「陸軍」での両者の関係を知っていれば
ああと勝手に思い当たるのである

【ラストシーン】
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「東京物語」の元ネタである「明日は来らず」で
鮮やかなラストシーンに感激した私だが
それに負けないくらい、この『陸軍』のラストシーンも凄い
田中絹代が「日本映画史を代表する女優」と言われる理由が
一目瞭然である
主役を取られた笠も、東野もそうだが
セリフや仕草に頼らずとも
長尺な中で集中力を切らさせない
密度の濃い表現力は圧巻だ


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天国と地獄(1963) [映画]

危機はいつも突然に
必ずといっていいほど重なってやってくる
その内容はたいてい理不尽なものだ
どんな選択をしたとしても
その先は真っ暗、何も見えない
それでも決断しなければならない
苦渋に満ちたまさにその真っ最中に
世界のミフネが言った渾身のひとこと
それは
人生における
本当の勝ち負けとは何かを
あらためて私に教えてくれるものだった
未見の方は是非映画で



舞台となった昔の横浜の
暗黒感と無国籍感がすさまじい
実に見応えのある映画です




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Kingsman: The Secret Service [映画]

まるでKick-Assが帰ってきたかのようだ
それも
Love ActuallyやMamma Mia!のラブコメや
かっちりしたThe King's Speechでも
真面目~でふわっとして
どこか頼んない印象の
あのコリン・ファース主演でである
いや、途中から主演でなくなるのだが
そこもKick-Assと被るちゃ被るし
クライマックスの高揚感も
観了直後のカタルシスもそうだ
一方
戦闘・殺戮シーンのエグさは
相変わらず半端ないので
注意が必要である
華大の漫才では無いが
ファンタジーと現実の境界を
如何に切り分けるかが
この映画を楽しむコツだと思う

荒唐無稽な娯楽映画ではあるが
地球規模から市井まで
我々が直面している問題を
きちんと真正面から取り上げているし
共感ポイントも多い
また個人的には
悪役のキャスティングや冒頭シーンで
Pulp Fictionへのオマージュが感じられて良かった
(敵基地に飛行機で乗り込むところは
 North by Northwestを思い出した)
なお、中盤で紹介されるヘミングウェイの言葉が
私にはストレートに突き刺さったので
吹き替えを強くオススメする(字幕はクソ)

There is nothing noble in being superior to your fellow man;
人より優れていることに気高さは無い
true nobility is being superior to your former self.
真の気高さとは、過去の自分を超えること

おまけ

最近この曲がテレビ(特にテレ朝、テレ東…
というかハウフルス制作番組)でやたらかかるなあ
と思っていたら、全然関係無いこの映画の予告編にまで
登場しているので


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Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance(2014) [映画]


「世界ふれあい街歩き」を
そのままスタイリッシュな映画にしたかのような
ステディカムによる長回しが続く
音楽はといえば、基本ジャズドラムだけ
こんな映画今まで見たことない
ストーリーもわかりやすいようで
よくわかんないが面白い
(役者、特に舞台経験のあるひとは
共感できると思う)
とても斬新でワクワクさせるこの感じ
「パルプフィクション」と似ているのだ
極めて下品な言葉遣いが
逆にカッコ良く見えるところも同じである


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隠し砦の三悪人(1958) [映画]

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【リアリズム】
おそらく
太平洋戦争の体験からだと思うが
まるで傷口に塩を塗るかのように
極限での人間の醜さや卑しさを
身もふたもなくあからさまにするところが
戦争直後の邦画
特に黒沢映画にはあるような気がしていた
迫力満点群衆シーンのオドロオドロしさも然り
その流れで、味方であっても
たとえ主人公だろうが簡単に死んでしまう
だから最後までハラハラさせられた
この映画ではそれらの要素が
すべて突き抜けていて
非常に大きな魅力となっている

【姫中の姫】
ヒロインの雪姫を演じた上原美佐は
(なーんと福岡市出身)
発声が一本調子でぎこちない
でもなんというか
凛として近寄りがたい美しさは
少なくともその瞬間に
特別な存在であることを感じさせる

え、出てこないままでいいの?
弱いものを何度も陥れるような
そういうことが通用するの?
させていいの?

人として最低の振る舞いが
公前と繰り広げられ
何が悪い最初から名乗ってるだろうと
開き直られる昨今
絶望的な状況にあっても
百戦錬磨の屈強な男どもと
尋常でない気高さで呼応しあう姿に
確かに雪姫は上原美佐以外なしと
納得させられるものがある

たとえ御姫様役であっても
いや、そもそも女優さんは本来
若くてお顔が整っていて
スタイルもよければいい
っちゅーもんではないのだと
勇気づけられた
与太者の愛人フゼイなど
もう見たくはないのである

【セカイノミフネ】
強烈な眼光の鋭さ
圧倒的な存在感
いまさらながら、この映画で
三船敏郎のファンになった
ウィキで人となりを知り
ますます惚れてしまった
「男は黙って」なんだけれども
この人はもっともっと評価されていいと思う


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