SSブログ

久住昌之「孤独の中華そば「江ぐち」」 [読書]

どういう本かというと
仕事から帰宅する電車の中で読んでいて
その電車が福山駅に着いて扉が開き
どーっと流れ出る人混みの中で、ふと気付く
視界いっぱいに福山城が
目の前にどーんと広がって見えていて
まだ青々とした空をバックに
お城の壁や石垣、そして木々の縁取りが
夕陽色に染まっている
やがて桜が満開になり
花を愛でる人達でにぎわうだろう
なんちゃって城ではあるけれども
そんな城のある町で暮らすのも
悪くないなあと思った
まあ、そういう本である

「江ぐち」(今は「みたか」)という
ラーメン屋さんの存在は
今月初めの「ぴあ」で初めて知った
そこで久住昌之がこう書いている

  新しいラーメン店は、一口食べて
  「おぉ!」というラーメンをめざし過ぎ
  なんじゃないでしょうか。名前からして
  『男気ラーメン・麺許皆伝』みたいな

パン!とひざを叩きましたね

で、その記事に紹介されていたのがこの本である
一気に読みました。傑作です
面白かったし、しみじみしたし、やっぱり得心した
その通りだと思うことが多かった
これから色んなお店に行くうえでも
このブログを書いていくうえでも
おおいに参考になりそうである

面白かったのは
この本を小脇に抱えて改札を抜け
紅ほっぺのイチゴケーキまだあるかなと
「花いちご」に見に行ったら
いつもはジュースブースにいるおねいさんが
なぜかショーケースの後ろに立っていて
こっちをじっと見ているような気がしたので
つい、知らない顔して
すーっと通り過ぎていってしまったこと
もう2回ぐらいこのお店で買ってるんだから
ふつうのお客さんでいいのに
おれってば何意識してるんだろうか

この本の終わりにこういう言葉もあった

   そういう淡々とした日常の繰り返しを生きていられるのが、
   案外本当のシアワセかもしれない

それが真実であることを
まさにその日常のなかで理解することが
いかに難しく、どれだけ大切なことか
ありがとうございます
 
 
20110326bible.jpg
久住昌之「孤独の中華そば「江ぐち」」
(牧野出版、2010)1600円
ISBN:978-4-89500-134-2

コメント(4) 

コメント 4

もとじ

いつも拝見しています。

>そういう淡々とした日常の繰り返しを生きていられるのが、
>案外本当のシアワセかもしれない
いやいや、ホントに真実だと思います。
日々見過ごしがちな、昨日と同じような今日が迎えられる幸せを思い起こさせてもらいました。

その本、読んでみることにします。被災された方をはじめ、思うようにならない日々を過ごされている方に思いを馳せながら。
by もとじ (2011-03-27 19:43) 

nonn

こんばんは
お便りありがとうございます

>昨日と同じような今日が迎えられる幸せ
あたりまえのことが
いかに有難いことなのか
空気や水と同じなんですね
わかっちゃいるつもりでも
つい忘れてしまう…ダメですね私も

>読んでみることにします
ありがとうございます
楽しんでくださるとうれしいです
ローズコムにあるとのことですよ

またの便りお待ちしております







by nonn (2011-04-01 00:05) 

もとじ

いつも拝見しています。

江ぐち、図書館で借りて一気に読みました!
最初は軽めのエッセイかと思いきや、最後の閉店してしまう件ではうっかり涙が出そうになりました。
ラーメンの描写はもとより、登場人物が実在すること、また(想像部分も含めて)その人柄が丁寧に描かれていることで、引き込まれてしまいました。
こういうお店を知っているって羨ましいです。
by もとじ (2011-05-05 06:38) 

nonn

こんばんは
いつもお便りありがとうございます
感想を聞かせていただいて参考になります
重ねて感謝いたします

>丁寧に描かれている
特に事件がおきるわけでもない
普通のお店の歴史であり
普通の人生なんですけど
私たちそのものの姿でもある気がするんです
逆にいえば
歴史上の人物ではなく英雄でもなく
私たちを丁寧に描いてくれてる
だから引き込まれるし共感できる

>こういうお店を知っている
多くのひとに親しまれ
勝手に想像して楽しまれるようなお店
もとじさんにもきっとあるのでしょう
身近過ぎて気が付かれていない
だけかもですよ~

またおたよりくださいね

by nonn (2011-05-05 23:14) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。