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久住昌之「孤独の中華そば「江ぐち」」 [読書]

どういう本かというと
仕事から帰宅する電車の中で読んでいて
その電車が福山駅に着いて扉が開き
どーっと流れ出る人混みの中で、ふと気付く
視界いっぱいに福山城が
目の前にどーんと広がって見えていて
まだ青々とした空をバックに
お城の壁や石垣、そして木々の縁取りが
夕陽色に染まっている
やがて桜が満開になり
花を愛でる人達でにぎわうだろう
なんちゃって城ではあるけれども
そんな城のある町で暮らすのも
悪くないなあと思った
まあ、そういう本である

「江ぐち」(今は「みたか」)という
ラーメン屋さんの存在は
今月初めの「ぴあ」で初めて知った
そこで久住昌之がこう書いている

  新しいラーメン店は、一口食べて
  「おぉ!」というラーメンをめざし過ぎ
  なんじゃないでしょうか。名前からして
  『男気ラーメン・麺許皆伝』みたいな

パン!とひざを叩きましたね

で、その記事に紹介されていたのがこの本である
一気に読みました。傑作です
面白かったし、しみじみしたし、やっぱり得心した
その通りだと思うことが多かった
これから色んなお店に行くうえでも
このブログを書いていくうえでも
おおいに参考になりそうである

面白かったのは
この本を小脇に抱えて改札を抜け
紅ほっぺのイチゴケーキまだあるかなと
「花いちご」に見に行ったら
いつもはジュースブースにいるおねいさんが
なぜかショーケースの後ろに立っていて
こっちをじっと見ているような気がしたので
つい、知らない顔して
すーっと通り過ぎていってしまったこと
もう2回ぐらいこのお店で買ってるんだから
ふつうのお客さんでいいのに
おれってば何意識してるんだろうか

この本の終わりにこういう言葉もあった

   そういう淡々とした日常の繰り返しを生きていられるのが、
   案外本当のシアワセかもしれない

それが真実であることを
まさにその日常のなかで理解することが
いかに難しく、どれだけ大切なことか
ありがとうございます
 
 
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久住昌之「孤独の中華そば「江ぐち」」
(牧野出版、2010)1600円
ISBN:978-4-89500-134-2

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