SSブログ

スラムドッグ$ミリオネア [映画]

20140323slummili.jpg
アカデミー賞を8部門も取ったためか
この映画は誤解されているところもあるようだ
称賛されているわりにはリアル感に乏しい
あるいは人物や物語に深みがない等々
(私も最初、主人公のジャマールとラティカは
 インド実写版ラピュタのパズーとシータだなと思った)
確かに「斜に構えている」「素直じゃない」のが
本来のイギリス映画の特徴であり
私の好みでもあるのだが
この映画はそれには全く当てはまらない

この映画については、脚本を手がけた
イギリスの古沢良太ことサイモン・ビューフォイが
コメンタリーで述べていることが全てである

   元々のテーマが愛
   純粋で穢れのない愛であり
   ロマンスを否定するような高尚な分析や
   皮肉な目線を一切入れたくなかった

あの現代イギリス映画を代表する
ユーモアとペーソス溢れる
私の大好きな映画「フル・モンティ」を書いた
稀代の脚本家が
「甘いけど」と前置きした上で

   この世界で大切なのは金より愛だ

と言い切ったフェアリーテール(おとぎ話)なのである
リアルさに欠けるのは承知の上だ※

その舞台が
貧困と混乱に満ちた街ムンバイ(ボンベイ)のスラムであり
ゴミ集積場や汚水、果ては簡易トイレに肥溜まで登場する
目を覆うような残酷な場面に慄然とする
そもそもイギリス映画は下世話で明け透けだ
それでも尊厳や品格を失わず
這い上がり立ち上がろうとする人間を称える
実に「らしい」ではないか

登場人物はインド人だらけで、音楽もインド音楽だ
異次元な空間が非常に新鮮で魅力的である
3つの時間軸を交錯させ、過去と現在を自由に行き来する
手法自体は珍しくはないが、転換の瞬間が自然かつ絶妙であったり
また三世代の役者を用いて違和感がないなど
映画としても見ごたえがある

余談だが、サイモン氏いわく
目が大きくて白目がちなのがいい役者(名優)の条件なのだそうです  
た・し・か・に!

※カットされたシーンから
 本来はもっと複雑でドラマチックな展開だった事がわかる
 作り手側は意図的に、素直なラブストーリーにした

コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。