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戦火の馬 [映画]

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アカデミー賞には無縁だったし
評判はあまり聞かないしで
さほど期待せずに(家族で)(福岡で)観に行った
結果オーライだった
世間一般的にいえば「秀作」だろうか
私的には「傑作」である

そもそも、この映画がファンタジーであり
明日への勇気と希望を与えるものだという
ディズニー的触れこみが間違っているのだ

いや、わざとミスリードしているのかもしれない
主人公の馬は実際可愛いし、奇跡の映画といっとけば
「このへんで」と何も考えず選んでしまう
(我々のような)のん気な家族連れも多いだろう
今回は、それで全く正解だと思うので

この作品は、可愛い馬が奇跡を起こす愛と感動の物語です

私なりにつけ加えるとすれば、この映画は
 1)イギリス映画である
 2)戦争映画である
 3)タイトルの意味が深い

1)イギリス映画であること
この映画を観ながら、何か臭うような気がしていた
何処かひねくれていてそっけなくて素直じゃないのである
本当は動揺していても顔には出さないみたいな
感激していてもさらっと流すみたいな
世の中や人に対して常に俯瞰で
一定の距離を保っているような
温かい気持ちをシニカルな雰囲気に包むような…
もしやと思っていたら案の定だった
2人いる脚本はそれぞれ
「ラブ・アクチュアリー」「リトル・ダンサー」を
手掛けた人たちだそうだ
「あー」と納得し、嬉しくなった
そういうのいって、まさに私の大好物じゃないか
盛り上がるところで盛り上げない
琴線に触れてもいいところで触れない
だから、評価の基準がカタルシスであれば
無冠の帝王もやむなしだろう
中間地帯での、最大のクライマックスシーンだって
もしハリウッド映画だったら、もっと盛り上げただろうし

2)戦争映画であること
「シンドラーのリスト」を観ていない私が
スピルバーグってやっぱスゲーと思った
特に中間地帯での壮絶な戦闘シーンは圧巻
これとはまったく対照的に
「全てを奪う」戦争の無慈悲さを
静かに淡々と表現していて
まるでクラッシック音楽のように
メロディとテンポの強弱が素晴らしい
この戦争にかかわったあらゆる人間や動物それぞれの
一瞬の心情まで伝わってくるようで
言葉を失ってしまった
それでいて、凄惨なシーンは皆無なのである
見事だというほかない

3)タイトルの意味
「戦火の馬=WAR HORSE」
奇跡を起こした一頭の軍馬のおとぎ話を観て
実際には奇跡を起こせなかった約90万頭の軍馬
(と、約90万人のイギリス兵ほか)
それぞれの運命に思いが至る
まるで西部劇のような美しいラストシーンは
彼ら皆が望んだ奇跡の姿そのものであったろう

4)その他
・音楽がまた美しい!(ジョン・ウイリアムズ)
・約2時間半と上演時間が長い映画なのだが
 父は珍しく居眠りしなかった
 逆にエンドロールが長いと文句を言ったのには笑った
・日本語字幕が戸田奈津子で
 ナッチ節が(やはり)見うけられたのが残念だ
 BD版もしくはDVD版では、翻訳・声優とも
 できれば「パルプフィクション」レベルの
 上質な日本語吹替版を期待するものである
  
予告編


福山コロナシネマWORLD
エーガル8シネマズ
で上映中
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