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文章がうまいということは [雑感]

先日、ドラマHEROの再放送で
中井貴一の名芝居を見た
20150822kiichi.jpg
長尺での間合いの取り方、感情の起伏が実に見事で
鳥肌が立つほどの、素晴しい芝居だった

だが、私がより注目したのは
ワンシーンしか登場しなかった
石橋蓮司の芝居である
20150822renji.jpg
この人、バラエティとかは一切出ないから
ちゃんと仕事は選んでいるのだろうが
まるで全然選んでないかのように
(美術番組内のミニドラマなど)
いろんなドラマにひょこっと出演する
フットワークの軽い俳優さんだ
チョイ役で、台詞も少ないことが多く
出演シーンをカットされることもあるようだ
だが石橋蓮司が登場するだけで
そのシーンの密度が高まるだけでなく
作品全体として腰が据わる感じがする
もちろん大河ドラマの安宅の関での富樫役など
名芝居も余裕で出来る俳優さんである
60年の間俳優をやってきた人なのだ

このHEROでの中井貴一のような名芝居は
本人の力だけでなく配役や他のキャスト、脚本、
スタッフの力量、演出のタイミングなど
いろんな要素がうまくかみ合ってこそ
生まれるものだと思うが

石橋蓮司がチョイ役で見せる芝居は
どんな役でも、どんな台詞でも
適切に対応できていて安定感があり
決して重くならず作品に溶け込み目立たないくらいだが
石橋蓮司ならではの雰囲気がちゃんと出ていて
観ていて思わずよだれが出て唸らせるような
うまい芝居だと言いたくなる

と、ここで思い当たったのだ
中井貴一のここでの芝居を文章でたとえれば
一世一代クラスの名文だとするなら
山口瞳の言っていた「うまい文章」とは
チョイ役で見せる石橋蓮司の芝居のようなものではないか
それがこの項の結論である





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